ケーキセットでできた子豚の話
- 2018/8/20
- 食事デート
ホリ子よ。お久しぶり。
面白い子豚ちゃんと出会ったので報告するわ。婚活パーティーでジロジロ見てくる一見紳士風だけどメタボなおじさまが近寄ってきてね、身長は160センチくらいだから、ちょっと見下ろす感じ。私のしもべになるのかしら・・・なんて期待しながらね、発音を待ったの・・・「ぶ〜」って言うかなと思って。
メタボで、子豚で、少しバーコード気味で全然清潔感がなくてね。私の好み。
そしたらね、
「あなたとの出会いに感謝します」
って言ってきたの。
なかなか「イケてるわ〜」なんて、逆の意味で思っちゃってデートの約束をしたの。
ある土曜日、13時に新宿のシティホテルのロビーで待ち合わせしたの。私から電話をかけてね、「どちらにいらっしゃいますか?」って聞いたら、「あっ・・・」って言って電話を切られたんだけどね、「あっ」って何よ・・・
20秒ほどだって、ちょこちょこと短い足で一生懸命に歩いている豚がいたの。思い出した!あれだ。
土曜日なのに、スーツ。しかも、ダボっとしたやつ。なんで、モテない50代ってダボってしてるのかしら・・まあ、定番ね。お腹を隠すためかな〜なんてね。
「ホリ子さん、こちらのホテルのレストランでは予約が取れなかったので、別のところにいきましょう!」なんていって、タクシー乗り場にスタスタと。
短い足なのに歩くスピードはやけに早い。普通の女だったら、見失うはずよ。そしてそのまま帰るパターン。
振り向かない・・・。「お!、私は置いてけぼりかしら・・・」と思ったら競争心が湧いてね、徒競走しちゃった。軽い運動よ。
「あれ?意外とタクシーが来ないし、3組並んでるし・・・」
いや、実質初対面でタクシーで二人きりってなんだかいやだよね。10分待って、「出会いに感謝」って言う言葉を10回ほど聞いて乗り込んだら、タクシーの運転手のおじさんの臭いと隣の子豚の臭いが混じり合った感じで、頭クラクラ。息を10分ほど止めて我慢したわ。
その10分乗車のタクシーの中での会話も面白かったわ。
「ホリ子さんとは年も離れているし、まさか出会えるとは思わなかった・・・」
「まさかホリ子さんが会ってくれるとは思わなかった・・・」
「出会いに感謝します・・・」
まあ、臭いタクシー運転手は、多分「いい年して出会い系で会ったんだな〜」なんて思っているのか、バックミラーで目があってしまったわ・・・なんだか隣の子豚と似てる・・・
女の羞恥心なんておかまいなしか・・・よくある人の気持ちなんて理解していない、自分世界の住人かな。
そんなこんなで、10分ほど乗って少し郊外のレストランについたの。私鉄沿線のね。
そうしたらレストランの前で一言。
「14時30分の予約なので、近くのカフェにいきませんか?」
おー、来た!予想外パターン!まあ慣れてるけどね。
だったらこのお店の前で14時30分に待ち合わせすればいいものを、効率性なんて度外視だから、人生にも成功しない、給与も安い・・・はず。プロフィールみたら、50代で500万円いっていないって・・・。でもそういうの好きよ。ホリ子はね・・・人が好きだから。
「時間まで、あそこのカフェで、ケーキセットでも食べませんか?」なんて言うものだから、まあ食事前だけどお腹も空いているし、食べるか・・・なんて思って注文させてもらったわ。ほんとは食事の前に食べたくないけど。
女慣れしていない男の思考パターンというのは、「女はケーキセットを頼んでおけば喜ぶ」というやつ。典型的な無知。
カフェで1時間ちょっとお話したけど、もう充分よね。
「せっかく人に生まれたんだから感謝しなくては・・・」って自己啓発の話を延々と・・・
幸せになるために頑張ってるのね・・・なんて思いながら、喋り続ける子豚を見守ってた。
・過去に婚活会社からご紹介された女性との顛末
・前の奥様と別れた理由
・今現在の婚活会社で紹介された女性との関係
92%が女の話。大半が情けない話で、「それじゃーモテないわよ」っていうやつ。そもそもね、デートでしゃべるかね、私以外の女の話。
「今日は16時30分からネイルサロンなので、16時くらいには帰りたいと思います」って一応、長い話の途中でインフォームしておいたけどね・・・その後、ケーキセットでお腹いっぱいの中で、遅いランチを食すためにレストランに入ったの。個室を予約したらしいけど、布で仕切られた狭いテーブルだった。子豚は横に大きいので、お腹がはみ出るくらいの狭さ。
私はほとんど食べたくなかったので、「お野菜くらいで結構です・・・」と優しくお伝えしたところ、
「二人の出会いに感謝します。初めてのデートなのでシャンパンでもいかがでしょうか」って来て、「似合わないな〜」なんて思いつつも、笑いを我慢して、「ではお任せします」ってお伝えした。注文されてきたのは、フレシネ・・・「シャンパンとは言わないよね。スペイン産だし。」というツッコミはせず、とりあえず我慢。
16時過ぎてもなかなか帰してくれないので、諦めたわ。
私が16時30分からネイルサロンがあると言うことを忘れたのかしら。。。。
まあ、いいわ。その場でネイルサロンにキャンセルの電話をさせてもらったわ・・・
そうしたら、
「僕のために、キャンセルしていただいたのですね。感謝します!」だって。なんだかムズムズする。
16時30分になって、レストランのスタッフさんに帰りを促されるまで喋り続けられてね、「仕事に自信が無い」とか「昔はこんなことをした」というような武勇伝とかね。疲れるやつ。
レストランから出たら、子豚が一言。
「これから、あそこのカフェでケーキセットでもいかがですか?」だって。
「お前のお腹は、ケーキセットでできてるのか!」
なんて叫びたかったけど、丁重にお断りして、目の前に偶然止まったタクシーに一人で乗り込んで逃げるように帰ったわ。。。
「もう無理!」ってね。
しばらくタクシーに乗って気がついたのだけど、なんだか臭い・・・
小丸ホリ子
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